風雨来記4【感想・レビュー】
【PS4・SWITCH】
FOGの看板シリーズである風雨来記(ふうらいき)の4作目で発売は日本一ソフトウェア。旅がテーマの今作の目的地は日本の真ん中である岐阜県。PS4とSWITCHで同時発売だが今回プレイしたのはPS4版。4が発売したからか、1~3はかなり高騰していて簡単には手が出せない価格になってしまっている。
出版社に勤める主人公は岐阜県の魅力を紹介するコンペに参加するため単身、岐阜県へ。バイクに乗って出発!
これは静止画ではなく動いている。実際にバイクで移動しているかのようだ!しかも360度見回すことができるぞ!
バイクで走っていると途中で地図上にはなかった観光スポットを発見したりと、実際に旅をしている感覚に近づくようにうまく作られていると思う。
もちろんマップ上から目的地までファストトラベルも可能。ただしこの場合は途中にあるスポットは発見できないので注意。
観光スポットでもほとんどの場面で360度見回すことが可能なのはもちろん…
いつでもカメラを構えて写真を撮ることができるのだ。
また、このゲームは旅先で出会った女性とのロマンスを楽しむという恋愛アドベンチャーゲームとしての側面もある。今作のヒロインとなる女性は3人。
訪れることができる観光スポットは数十か所にもおよぶ。各観光地では主人公あるいはヒロインによる詳しい説明があるため予備知識なしでも全く問題なし。
一度訪れた観光地も二度目は違うものが見れたりする場所もあるので、これ1本で岐阜県をたっぷり堪能することができるぞ。
なるほど、こりゃ4まで出るわけだ。
主人公は1か月間ホテルに泊まらず真夏にキャンプ生活のようだ。観光シーンだけでなくキャンプのシーンも手を抜かないでしっかり描かれている。旅行好きはもちろん、バイカーやキャンパーも納得!?
一日の終わりにはパソコンで記事を書いてアップしよう。文章の方向性を選んで、撮った写真の中から2枚選んで掲載できるぞ。1週間全く記事を投稿しないとゲームオーバーになるので注意。
でも正直、なんだろう…岐阜のみなさんには大変申し訳ないんだが、岐阜県はちょっとゲームのメイン素材としては弱い。道を走ってても近所と大して変わらないし…自然が多いのは良いことだと思うが、自然以外のものがあまりないというか…
失礼を承知で言えば、あまり人気のなさそうな(興味がある人が限られそうな)観光スポットが多い。このゲームを遊んだ後に「いつか実際に行ってみたい!」と思えるような場所はほとんどない。
養老公園に行っても1回目には養老の滝に行かなかったり、下呂温泉や信長や飛騨牛をあまり推してこなかったりという変化球が多い。岐阜県の場合はマイナースポットばかりに焦点を当てるよりはもっとストレートな感じでメジャースポットを推してくるなほうがよかったのではないだろうか。
ゲームシステムに衝撃を受けて夢中になるのは最初だけで、正直かなり飽きやすいと思う。ヒロインの存在もちょっと薄いし、ストーリーも弱い。ヒロインが3人というのもこの手のゲームではかなり少ないほう。
しかもヒロインはいつどこに誰がいるのかのヒントが全くない。数日間誰にも会えなくてもイベントの期間がまだなのか、それとも過ぎたのか、選択肢や順番を間違えていたのか、その場所に先に一人で訪れてしまっていたらダメなのかなどがわからない。攻略なしでプレイするとヒロインを探すために数十か所ある観光地をほぼ毎日総当たりで巡ることになる。
中にはヒロインなのに攻略を見ないと出会うことすら難しいキャラも…ヒロイン3人しかいないのに…隠しキャラでもないのに…。中盤以降は向こうからの誘いが多くなるのでどこに行くのかわかるようになってくるが、序盤はヒントはゼロだし順番やイベント発生時期(早くても遅くてもダメ)、ヒロインによっては選択肢を間違えると二度と現れない、終盤でノーヒントである場所に行かなければならないイベントなどがあり(3人のうち2人)、プレイしていてうんざりしてくる。
似たようなゲームでハドソンの「北へ。」というシリーズがあったが、1999年の1作目で総当たりゲームだった「北へ。」は2003年の2作目ではその辺りをきちんと改善してきていた。このゲームは2021年に発売でこの状態だ。ゆったり自由な旅を楽しみたいのにイベントを探すためにセーブ&ロードしながらウロウロしないといけないのでせっかく完成度の高い旅ゲー部分も台無し。
一度クリアしたヒロインをもう一度攻略すると選択肢が出現し、別のエンディング(真エンド?)が見れるのも無理やりかさ増ししたようにしか思えない。スキップだけで進むゲームではないので…ほぼ同じことを2回もやるのはしんどい。それに別エンドが存在することをゲーム内で説明するなり匂わせるなりすべきだったとも思う。気づかずにゲームを処分してしまった人も多そう。
主人公の性格や言動も賛否分かれそうだ。私個人の印象ではあるが「こだわりが強くてちょっとスケベで距離感のおかしい痛いオジサン」って感じ(作中では20代だが)。合う合わないはかなりあるだろう。
投稿する記事も段々と「僕と彼女のデート旅行日記」みたいになってくるし(誰が興味あんねん)、恋愛要素なんていらねぇ!と思う方も多そう。1人エンドも用意されているが、ヒロインとの話を進めないと出現しない観光地も結構あるので…例えば小説や映画で有名な野麦峠もその一つ。
ゲームのベース部分はいいのに素材が今一つなのに加えて恋愛要素の部分が遊びにくいどころか肝心の「旅」の足を引っ張ってしまっていてもったいない作品である。
旅ゲーとしての完成度は圧巻の一言。しかしヒロインがどのタイミングでどこにいるかが分からないので総当たりしないといけないという超面倒くさい仕様は最悪。やっていて馬鹿馬鹿しくなってくる。岐阜県は単体で1か月旅行するスポットとしては目玉になるような観光スポットが少なく、各スポットもパンチに欠けるので飽きやすい。岐阜県の皆さんには申し訳ないが…旅行ゲームの素材としては弱すぎる。そこは好みの問題としても、とにかくヒロインとのイベントを探すのが苦行だし(総当たりしようとすると考えうるパターンが1週間に限っても数百)、ほとんど変化のない2週目をやるのもしんどい。
スコア:50点(100点中)判定:凡ゲー
(↑アマゾン商品ページ)
あくまでも個人の感想なのであしからず。