ジルオール インフィニット プラス【感想・レビュー】
【PSP】
歴史ゲームでお馴染み(現在は無双シリーズで有名)のコーエーによるフリーシナリオRPG。初代PSで発売された当時は30パーセントほどの完成度であったらしいが、それでもかなり作り込まれた作品で熱狂的なファンが生まれて完全版が望まれた結果、PS2でインフィニット、PSPでインフィニットプラスの発売となった。この作品の少し前の時代の物語を描いた「トリニティ ジルオールゼロ」という外伝もPS3で発売されている。
ゲームを始めるとまずはキャラクターメイキング。名前、性別、誕生日を選択していくつかの質問に答えると初期のパラメーターが決定される。
そしてゲームスタート地点を選ぶ。これにより主人公の出自や序盤のストーリーが決まる。
男女よって別々のスタート地点が用意されていて、2周目以降限定の開始地点もあるので周回するのも楽しい。
序盤の物語が終われば、あとは大陸を自由に冒険しよう。
各地の町やダンジョンには数多くのイベントやキャラクターがプレイヤーを待っているぞ。
基本的にはギルドで受けたクエストを解決しながら大陸を放浪。クエストは手紙の配達や護衛などの簡単なものから凶悪モンスターの討伐まで様々。
クエストを完了させるとお金、経験値、ソウルポイントが得られる。このソウルポイントを消費して得たソウルをキャラに宿すことにより、レベルアップ時のパラメーターの上昇率や使用できるスキルが決まる。
各ソウルはそれぞれ固有のスキルを複数持っており、戦闘で得られるスキルポイントを使って習得することでソウルを変更してもそのスキルを使用できるようになる。
ゲームが進んでいくと歴史イベントや戦争イベントが発生。
戦争に傭兵として参加したり、キャラクターの好感度や主人公の立場によってはいずれかの陣営の正規軍として参戦するイベントもあるぞ。
プレイ次第で本来は死ぬはずだった人物を救出して仲間にすることができるのは胸熱。
ひたすらクエストをこなすもよし、お気に入りキャラのイベントを追いかけるもよし…
歴史の大舞台での活躍を目指す、竜を全て倒す、闇の神器を全て集めるなど自分の好きなように冒険を楽しもう。
ウィザードリィシリーズのモンスターデザインでも有名な「末弥純」氏によるたくさんのキャラクターと豊富なイベントはこのゲームの世界観を非常に魅力的にしている。
戦闘はシンプルなコマンド選択型。攻撃、スキル、魔法、アイテムなどを駆使して戦う。装備している武器(主人公の場合は防具も)の見た目がきちんと反映されているのは良い所。モーションは丸ボタンでスキップできるのでテンポも良い。
ゲームバランスがかなり極端なのはマイナスポイントか。たいていの場合、1ターンで倒せるか、あるいはこちらが1ターンで全滅するかのピーキーな戦闘になりがち。
全体魔法を使ってくる敵が強すぎる感がある。あとは全体に複数の状態異常をかけてくるボスも対策しておかないと何も出来ずに倒されることも多い。それ以外は基本的にはヌルゲー。
どちらかといえば戦闘よりはイベントを楽しむゲームだし、周回するのも考えると楽なほうがいいのでこれはこれでありだとは思う。
パーティーに加入するキャラはかなりの数が用意されている。無双OROCHIシリーズにも登場する「ネメア」もこのゲームのキャラクター。
仲間に入れるのが結構難しいキャラもいたりする。今作のパッケージにもなっている人気キャラクターの「カルラ」は加入条件が複雑な人物の一人。
大陸中に散らばる多数のイベントがこの作品の大きな魅力だが、キャラによっては見つけるのが非常に難しいイベントやルートも結構ある。
発生がランダムだったり、短い期間内に好感度の調整をしないといけなかったりするようなものもあるので、クリア後はポイントやゴールドでヒントを購入できるなどのシステムがあってもよかったかも。
ただ、個人的には手探りでイベントを探していくのもこのゲームの楽しみ方の一つだと思う。
クリア後にはキャラクターとの個別エンドが用意されている。エンディングの数はなんと50以上!2周目以降は条件を満たしたキャラ全てから誰のエンディングを見るか選択できるので周回してからが本番とも言える。
このインフィニットプラスの追加要素を足してもまだ100パーセントではないと思う。可能な限り当時のスタッフを集めて完全版を制作してくれたら1万円以上でも買いますぜ?
世界観はしっかり作り込まれており、キャラクターは皆魅力的だし、イベントも多いので一周ではこの世界を遊びつくすことは不可能。ゲームバランスが極端なのが残念ではあるが、憑りつかれたら抜けられない強烈な魅力を持つ作品なのでマイナス点を考慮しても良作と言えるだろう。好き嫌いはある程度分かれるかもしれないが、一度はプレイしてみてほしい!完全版、欲しいなぁ…クラウドファンディングとかどうですか?
スコア:84点(100点中)判定:良作
(↑アマゾン商品ページ)
あくまでも個人の感想なのであしからず。