Pillars of Eternity II: Deadfire【感想・レビュー】
【PC】
フォールアウトNVやアウター・ワールドで有名なオブシディアン・エンターテインメントによるアイソメトリックRPGシリーズ2作目。公式には日本語に対応していないが、有志による日本語化パッチによりストーリーをきちんと理解しながら快適に遊べる(制作に関わった方々に感謝!)。
※記事内のスクショは日本語化パッチを導入した状態のものです
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ストーリーは前作からの直接的な続きとなる。物語、世界観や設定、登場人物などについては前作を遊んでいないと意味不明な部分が多い。今作から遊ぶのは推奨されない。
キャラクターのレベルや装備は引き継ぐことができず(前作の主人公と同一人物という設定だが)、デフォルトキャラから選ぶか新たにキャラを作成してレベル1から始めることになる(前作でプレイヤーがした選択は引き継ぎ可能)。
今作ではマルチクラス(戦士+魔法使い=魔法戦士 みたいな感じ)を選択することができるようになっている。マルチクラスでは上位のスキルは習得できないため、選ぶときは慎重に。
グラフィックはクラシックRPGテイストから今風な感じに変更されている。PCの性能にもよると思うが若干動作が重くなり、読み込みが長くなったように感じる。
今回の舞台はデッドファイアと呼ばれる群島。プレイヤーは自分の船で自由にマップ上を探索することができる。
船の装備(大砲や船体、帆など)やクルー、物資などは自分で管理できる。新しい船を買うことも可能。
各島々では食料が採取できる場所や廃墟や遺跡、あるいは戦闘イベントなどが配置されている。名前の付いていない島を発見した場合はプレイヤーに命名権があるぞ。
海上では海賊や敵対勢力との戦闘が発生することも。あるいはプレイヤー自身も海賊行為に手を染めることができる。
ストーリー上で仲間になるキャラクターの他にも選択によって加入するユニークキャラ(会話やクエストは基本的に無し)や酒場で自分で作ったキャラを雇用することもできるので、好きなパーティー編成でのプレイが可能。
クエストやイベントの解決方法は洋ゲーらしく自由度が高い。正攻法はもちろん、お金で解決、パーティーのスキル次第では脅す、騙すなどで情報を引き出したり言いなりにしたりできる。もちろんNPCを殺してしまうという選択肢もある。
クエストやタスクはかなり多く、島や街、施設も多いので洋ゲーの中でもかなりゴチャゴチャしているほうだと思う。
クエストには勢力間で競合するものも結構あり、選択によってはクエストの完了報告ができなくなったり、クエストが消滅したり、パーティーメンバーが脱退してしまったり会話が出来なくなってしまったりなどがあるのは洋ゲーらしいが…
このゲームはちょっとそういうのが多すぎる気がした。特にパーティーメンバー脱退阻止のために宿屋に行ってメンバーを入れ替える作業は非常にめんどくさい。フラグの管理が複雑なためか、そこそこ困ってしまうバグも未だに存在する。
プレイヤーの選択によって各勢力や仲間との友好度も変化していくが…ゲームを進めるうえではごく一部を除いてほぼ意味のない要素のように感じられたのは残念。友好度とか関係なしに選択肢1つで一気に敵対する感じなので。
戦闘はリアルタイムとターンベースの2つのモードが用意されている。
ゲームバランス自体はノーマル相当の難易度だと全てAI任せでも簡単くらいのバランス。
初心者には良い感じのバランスだと思うが、熟練のプレイヤーには自分よりレベルが2~3ほど上の敵と戦ってようやく戦闘で面白さを感じることができるバランスだと思う。この辺りは賛否両論かも。
今作ではAIの設定がかなり細かくできるようになったのはプラス点。面倒な人は初期プリセットから選択すればおおむね問題はない。
海上戦は正直言ってつまらないと感じた。面倒だし普通に拿捕(船上戦)したほうが早いのでほとんどする機会はないかも。ぶっちゃけた話、船のアップグレードはほぼ無意味でお金の無駄だと思う。
RPGとしてやりがいはあるが、あっちこっち移動させられる内容にも関わらず読み込みが多いため(そして長くなったのもあってか)面白さと同時に面倒くささも感じる。
クエストが同じような内容ばかりなので飽きやすいかも。洋ゲーのRPGのクエストは大体おつかいが多いが、移動や読み込みが多いのもあって今作は「おつかい感」をすごく感じる。
ストーリーと世界観は(時々文章を読むのが面倒な部分はありつつも)なかなか優れていると思う。ただし、前作を遊んでいないと全く理解できない部分が多いので簡単にオススメできる内容ではない。
島々を探索するのもそこまで面白いものでもない。コンセプトは悪くないが、同じようなイベントが置いてある島ばかりなため、あまりモチベーションが沸かない。探索する面白さは前作からダウンしてしまったように思う。
ユニーク装備が多く、装備のレベルはエンチャントによってアップグレードできるなど、良い点もたくさんあるんだけどね。
面白いのは面白いんだけど「ずっと遊んでいたい」気持ちよりも「さっさとクリアしてしまおう」という気持ちのほうが強く感じられた。残念ながら夢中になって遊べるほどのゲームではなくなってしまったかも。
全体を見るとRPGとしてはきちんと楽しいので前作をクリアした人間としては評価は「良作」にしたいが、不満点も多い。似たようなクエストやイベントが多く、読み込みが多い&長いので飽きやすい。勢力間で競合するクエストが多すぎるし、選択によってパーティーメンバーが脱退してしまう場面が多いのも自由度を下げていて面倒。ストーリーや世界観は面白いが、前作をプレイしているのが完全に前提であるのもどうかと思うし、点数をだいぶ抑えて「佳作」とした。今作から始めようと思う人はさらにマイナス10点くらいで考えてもらいたい。
スコア:67点(100点中)判定:佳作
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あくまでも個人の感想なのであしからず。