ファイアーエムブレム 風花雪月【感想・レビュー】
【Switch】
シミュレーションRPGではおそらく日本で最も有名なシリーズであるファイアーエムブレムの最新作。1990年にファミコンで第1作目が発売され、今作でなんと17作目となる。ちなみに私はFEシリーズ超初心者だ(今作が初めて)。
ファイアーエムブレムと言えば敗走した味方ユニットは死亡扱いで今後は登場しなくなる仕様が有名。しかし今作ではキャラのロストがない「カジュアルモード」もあるので安心。
主人公は傭兵団団長(元騎士団長)の息子or娘(男女選択可)というありがちな設定。とある村で襲われている生徒たちを助けたのが縁で学園の先生になることに。
選べる学級は3つ。それぞれの級長は各国の跡取りという、これまたありがちなシチュエーション。
キャラクターの数はかなり多いが、みんな個性があって魅力的だ。基本的にフルボイスなのも嬉しいところ。
プレイヤーは担任の先生として、受け持つ生徒たちの学習目標を決めたり個別指導をして各科目の習熟度を上げたりしていく。
生徒たちの習熟度が上がっていけばクラスチェンジのための試験を受けさせることができる。生徒=自分のパーティーなので自分の好きなように構成&育成ができるということ。
学園内では生徒や他の教師と話したり、一緒に食事を取ったり、お茶に誘ったりすることができる。うまくコミュニケーションを取っていけばプレイヤーと生徒(あるいは教員)、生徒同士の支援レベル(友好度)がアップしていくぞ。
重要人物でなければ他のクラスの生徒を勧誘して自分のクラスに引き入れることも可能。
ちなみに今作では終盤で支援レベルがMAXのキャラとは戦後を一緒に生きる選択をすることが可能なので、恋愛ゲーム的な面もあると言っていいだろう。
その他にも花や野菜を育てたり、釣りをしたり、投書された相談に答えたり、サブクエストをこなしたりなど様々な要素があるぞ。
ストーリーや設定は結構良い感じだ。所々の演出になぜか手抜きの部分があったりするのは気になるが…
ゲームのボリュームは結構あるほうだと思う。3つの学級+途中の選択(+キャラの個別END)で何週も遊べる仕様になっている。ただし、1つ1つのエンディングは中途半端な部分があるため、不完全燃焼感があるかも。
正直、UIはちょっと見づらい&使いづらいかな。文字が小さすぎるのも難点。テーブルモードやスイッチライトでプレイするとかなりギリギリかと思う。TVモード以外では眼精疲労は必須。
戦闘はユニットをグリッド上で移動させて敵と戦うオーソドックスなシミュレーションRPG。普通に武器で攻撃する以外にも魔法、戦技、計略を使用することもできるぞ。
戦闘マップで時間を巻き戻すことが可能なのは良いと思う。結局のところ誰か死んだらロードする人が多いと思うので、はじめからやり直し可能にしておいたのは良い判断かと。
要素が多いので初めはゴチャゴチャしている印象を受けるが、慣れてくると意外と底が浅いような印象を受けた。学園マップは1つしかなくて割と狭いし、難易度ノーマルならレベル上げは好きなだけ可能だし、支援レベルもプレゼントでいくらでも上げられる。
ゲームバランスはかなり大味。一部の兵科が強すぎる気がするので、育て方も全員ほとんど同じ方向性で問題ないかもしれない。NPCの頭も悪く、与えられるダメージが0でもお構いなしに突撃してくる。
兵科間の相性も気にするほどない。ゆえに防御力の高いユニットを前進させ、敵が近づいたら数人で殴るの戦術で全てクリアできてしまう。
ゲーム序盤はかなり簡単。難易度ノーマルだと装備さえ揃えていればいいといっても過言ではない。味方は結構な確率で敵の攻撃を回避してくれたり、クリティカルや紋章発動で有利に戦えるのもあり、敵が弱すぎて適当に遊んでても余裕でステージをクリアできる。
ゲーム後半になると名前ありのキャラは攻撃力が高く複数回攻撃をしてくるので、近づかれたら一瞬でやられることも起こってくるが、この場合も防御力の高いキャラを前進させ、近づいてきたらボコればいいだけ。
なんだか死亡したらキャラがいなくなる仕様と合わない極端なバランスだ。だから巻き戻し機能を付けたのかも。まあ、カジュアルモードだと敗走してもデメリットがないため、カミカゼアタックが可能なので強敵でも何も考えずに倒すことができるが。
こういうゲームバランス、仕様のため戦略・戦術といったものをほとんど考える必要がない。シミュレーションゲームとしては面白味に欠けるし、飽きやすい。
本格的なシミュレーションRPGを遊ぼうと思って買うとガッカリする可能性が高い。キャラゲーとしては良作だが。
ストーリーや設定は良い感じ。キャラは豊富で魅力的だし、生徒を育てたりコミュニケーションを取ったりなどの部分は単純だが割と面白い。戦闘はヌル過ぎて戦術も何もなく、大味で飽きやすいため高い評価はできない。ゲームとしては底が浅い感じがした。それでも全体的なまとまりを見るとさすが任天堂というか、そこそこ遊べるゲームに仕上がっているので、ライトなゲームを好む人には良作かも。しっかりとしたシミュレーションゲームを遊びたい人は期待しないほうがいいだろう。
スコア:68点(100点中)判定:佳作
(↑アマゾン商品ページ)
あくまでも個人の感想なのであしからず。